研究概要 |
地球温暖化効果の著しく大きいSF_6(六フッ化硫黄)に代わり得るガスとして、c-C_4F_8(パーフルオロシクロブタン)を含む混合ガスの特性を調べた。まず物理化学的特性に関して、N_2と混合したときの混合比と液化温度の関係、液化回収するときの回収率を調べ、同じ圧縮ガス圧、温度ではSF_6よりはるかに回収率が高いことを示した。 次に、c-C_4F_8と通常ガスとの混合ガスの放電特性を調べ、SF_6ならびに現在各所で精力的に検討されているSF_6/N_2の特性と比較した。試験条件は次のとおりである。 (1)直流(負極性)-電極配置30^Φ半球棒対平板、ギャップ長10,20,50,100mm、ガスの種類SF_6/N_2,c-C_4F_8/N_2(またはCO_2)、ガス圧0.1,0.2,0.39MPa、混合比(分圧比)0,5,10,20% (2)交流(60Hz)-電極配置30^Φ球対平板、ギャップ長2,5,10,(一部15)mm、ガスの種類SF_6/N_2,c-C_4F_8/N_2(またはCO_2、空気)、ガス圧0.1,0.2,0.4MPa、混合比(分圧比)0,5,10,20,100% c-C_4F_8の放電電圧(交流)は純粋状態ではSF_6の約1.3倍高い。通常ガスの放電電圧はN_2、空気、CO_2の順である。混合ガスの放電電圧は、SF_6/N_2は混合比に対する非線形性(シナジズム効果)が顕著で、混合比5%程度まではc-C_4F_8の混合ガスより放電電圧が高い。混合比が10-20%になるとc-C_4F_8を含む混合ガスの放電電圧はSF_6/N_2に匹敵するようになる。特に電極配置がいくらか不平等でコロナを生じるような場合には、c-C_4F_8を含む混合ガスの火花電圧はSF_6/N_2よりかなり高い。これらの実験のほかに、交流ではさらに極端な不平等電界である針対平板配置の実験も実施した。
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