研究概要 |
現在変電機器を中心とするガス絶縁機器の媒体としてもっぱら使用されているSF_6(六フッ化硫黄)ガスは地球温暖化効果が著しく大きい。そのため代替ガスとしてc-C_4F_8(パーフルオロシタロブタン)を含む混合ガスを提案し、適用の可能性を調べている。平成11年度での液化回収率、直流、交流での放電特性の検討に引き続いて次の点を明らかにした。 (1)雷インパルス電圧での放電特性-試験条件は、電極配置30mm^φ球対平板、ギャップ長5〜15mm、ガスの種類c-C_4F_8、SF_6、N_2、CO_2、空気、SF_6/N_2、c-C_4F_8/N_2(またはCO_2、空気)、ガス圧0.1〜0.4MPa、混合比(分圧比)0,5,10,20,100%。火花電圧は正極性より負極性の方が低く、c-C_4F_8を含む混合ガスの絶縁耐力は試験条件に依存するが同じ混合比のSF_6/N_2とほぼ同等である。 (2)不平等電界での交流放電特性-試験条件は、電極配置0.45mm^φ針対平板、ギャップ長10mmで、ほかは(1)と同じである。c-C_4F_8/N_2(あるいはCO_2)の火花電圧は、同じ混合比のSF_6/N_2とほぼ同じ程度で純SF_6より低いが、ガス圧が上昇するとSF_6に接近し、0.4MPaではSF_6の70〜80%である。 (3)c-C_4F_8/SF_6の交流放電特性-ともに電気的負性気体であるガスを混合した場合、ボルツマン方程式解析では火花放電が混合比に対して極大を示す。しかし実際には(1)と同じ電極配置で火花電圧は混合比に対して直線的な特性であることが分かった。 これまでの放電特性の実験結果から、純SF_6と同等の絶縁耐力を有する混合ガス絶縁の検討を行った。ガス圧を上げる場合と機器の寸法を大きくする場合で異なるが、どちらの場合でもc-C_4F_8を含む混合ガスであればGWP(地球温暖化係数)は10%以下に低減できる。
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