実験はプラズマ源つき真空チャンバーにて低軌道プラズマ環境を模擬できる装置を作り、その中に直流高圧電源でバイアスした太陽電池をおいて、放電発生前後の太陽電池表面の帯電状況の変化を測定しようとするものである。これにより放電発生に至る帯電状況を明らかにし、放電が起きにくい帯電状態になるような太陽電池電極形状を見つけだそうとするものである。実験に使用した真空チャンバーシステムはロータリーポンプとターボポンプにより排気を行い、口径3cmのカウフマン型直流プラズマ源によって、プラズマ密度にして10^<12>m^<-3>、温度にして1eV程度のアルゴンプラズマ状態を作り出している。帯電状態を表面付近のプラズマ状態を乱すことなく、非接触でin-situに測定するために非線形光学結晶(BSO結晶)を利用した光学測定手法を開発した。光学系はヘリウムネオンレーザー、偏光子、BSO結晶、透明電極、CCDカメラで構成され、BSO結晶表面の帯電状態を2次元的に33msの時間分解能で測定できると共に、2次元情報を犠牲にしてレーザ出力をフォトダイオードで検出すればμsの時間分解能で帯電状態の変化が測定できるようにした。正イオンによる帯電を物理的に阻止すべく太陽電池の前に透明フィルムをおき、それによって放電抑制効果があるかどうかを調べた。さらに放電発生箇所を特定するため、放電発生時の発光をデジタルビデオカメラでとらえ、発光像の画像処理を行うことで、放電発生箇所の特定と、発光強度から放電規模に関するデータを取得できるシステムを開発した。
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