研究概要 |
1. 実験方法 無電極放電ランプでは発光封入物と容器である石英とが反応して、これが寿命を決定し、期待されたほど寿命が延びない。本研究は管内面に保護膜を形成し寿命改善を図るための基礎実験として、石英基板に各種薄膜を形成し、ScI3及びNaI複合塩を封入した容器内で(1)1,000℃加熱100時間、(2)低圧水銀灯による紫外照射100時間(185nm、253nm133J/cm2および365nm86.4J/cm2)、における薄膜の変化を観察した。 2. 膜材料及び形成法 薄膜形成はゾルゲル法によるAl2O3、SiO2、TiO2の3種類、放電スパッタ法によるAl2O3、AlN、SiO2、Si3N4、Dy2O3の5種類である。 3. 結果 バンドギャップの狭いTiO2膜は紫外照射によって還元されていること、理論的にはバンドギャップの広いAl2O3膜においてもゾルゲル法およびガス圧が高い場合のスパッター法での製膜に若干黒化が見られ、完全なAl2O3膜かどうか疑問が有る。AlN、Si3N4もバンド幅が4.0eV前後であり、紫外照射で解離還元されていると見られ、放電ガス圧が高い場合には黒化が確認された。放電ガス圧が低い場合には、すべての膜ともにやや白濁・失透がみられる。ScI3との置換反応が一部起きている可能性があるが、Dy2O3を除く何れの膜も干渉膜が残っており、スパッタ法によるAl2O3,AlN,Si3N4膜は保護膜としての可能性があると言える。 Dy2O3薄膜では干渉膜が消え白濁している。DyとScの置換が起きていると推定される。 以上現段階では、低圧スパッター方式によるAl2O3膜、AlN膜、Si3N4膜などが保護膜として可能性有る。今後分子構造的に調査する。
|