研究概要 |
本研究の目的は,申請者が構築した発光分光診断法に質量分析法とフーリエ変換赤外分光(FTIR)法を加えた3方法同時診断技術を開発し,これを用いて有機シリコン材料による各種シリコン系薄膜生成法の評価を行うことである。これまでの成果は以下の通り。 (1)現有する容量結合形のステンレス製リアクタの上蓋フランジ周辺とパワー電極系を設計製作して,ガスフロー構造を改善し,プラズマリアクタをセットアップした。また,油回転ポンプのクリーン装置を導入して排気系のメンテナンスフリー期間延長を実現した。 (2)架台を製作し,リアクタをFTIR装置と検出器で挟んで配置して,光学系と結合させて診断装置を構築した。質量分析管をリアクタに対して垂直に据えて,プラズマ空間で生成される粒子の計測に備えた。常温で液体である有機シリコンとバッファガスをプラズマリアクタに導入するガス供給系を新たに加えることを予定していたが,時間切れとなった。 (3)電力,電流,電圧波形の記録用に導入したデジタルオシロスコープと質量分析管,計算機をGP-IBデジタル・バスで接続し,制御プログラムを作成した。 (4)分担者(下妻)を中心にして、ヘキサ・メチル・ジシランと水素の混合ガス、ならびにテトラ・メチル・シラン(TMS)と水素の混合ガスの50Hzプラズマを用いてそれぞれSiC薄膜堆積を行った。また、同じく50HzプラズマでTiN薄膜堆積を行い、それぞれの結果を学会発表した。TMSと水素混合ガスでは、基板加熱温度が650℃を越えると良質のSiC膜が堆積されることを、各種の膜評価結果から見出した。
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