研究概要 |
本研究の目的は、申請者が開発し構築した発光分光診断法に質量分析法とフーリエ赤外分光(FT-IR)法を加えた3方法同時診断技術を開発し、これを用いて有機シリコン材料による各種シリコン系薄膜生成法の評価を行うことである。今年度の成果は以下の通り。 (1)Tetramethylsilane(TMS)と水素混合ガスによるSiC薄膜堆積で、(1)生成膜の結合状態は、TMSの混合比、流量、自己バイアス電圧V_sに強く依存することを膜評価結果から明らかにした。(2)13.56MHz,50W,133Paでは、混合比5%、流量110sccmのとき良質の膜が得られることを示した。(3)V_sをパラメータにした結果から良質の膜を得るにはH^+の反応の制御が重要であり、V_sが大きいとパワー電極でパウダーが生成すること、アース電極をバイアスすることによってこれを避けるることができることを示した。 なお、基板温度を500℃で堆積を行ったものであり、均一な膜生成が実現していれば画期的な結果である。 (2)発光分光法によって窒素RFプラズマの励起種の時空間プロファイルを求め、N_2ガス中においてもダブルレイヤーが形成することを示した。このことを計算機シミュレーションによっても明らかにした。 (3)誘導結合型プラズ(ICP)マリアクタを製作し、RF〜VHFの電圧を印加してICPの特性解析を主に質量分析法を用いて行った。結果は、(1)電力の増加によって生成イオン数が増加し、N^+密度がN_2^+に比べて大きくなる。(2)イオン生成は気圧、流量に強く依存し、最適値をもつ。13.56MHz,500Wでは、それらの値は40sccm,1.33Paであった。(3)周波数を高くするとN_2^+密度が大きくなる。 (4)分担者(下妻)は、TMSと水素混合ガスを用いて、電極構造をTriode型にして50HzプラズマからSiC薄膜を堆積させ、生成膜の評価を行った。結果として、基板温度750℃,バイアス電圧-200Vで、堆積速度0.75μm/h,屈折率2.7,ビッカース3500Hvを実現した。
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