研究概要 |
本研究により,表面平坦ダイヤモンド薄膜を成長させるためのサファイア(アルミナ単結晶)基板の原子レベルでの表面超平坦化技術を確立することができた。また,従来のダイヤモンド薄膜作製に利用されてきたCVD法やスパッタ法とは違い、ダイヤモンドの核形成機構を根本的に変えるために本研究ではカーボン原料種のパルス的供給が可能な、紫外光短パルスレーザーによるアブレーション反応を利用した酸素雰囲気下での成膜装置を作製した。アブレーションターゲットには、高純度グラファイト(黒鉛)および、よりダイヤモンド核形成を促進するために、NiやFeなどを混入したグラファイトを用いた。レーザーとしては、KrFパルスエキシマレーザーを利用した。原子レベルで平坦なサファイア基板上に、グラファイトをターゲットとしたパルスレーザーアブレーションにより、600℃以下の低温において,最適な酸素圧力、基板温度、基板-ターゲット間距離、レーザー周波数の条件を選ぶことにより,エピタキシャル(単結晶性)なダイヤモンド薄膜の成長を達成することができた。また,酸素ガス中でのグラファイトのレーザーアブレーションにより生じる発光柱(プルーム)の時間分解、および位置分解の発光分光測定を行い、ダイヤモンド結晶成長に及ぼす原料ガス種の同定や酸素分圧の影響を定量的に調べることできた。
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