研究課題/領域番号 |
11450119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10181421)
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研究分担者 |
田渕 雅夫 名古屋大学, 工学部, 講師 (90222124)
中村 新男 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50159068)
竹田 美和 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20111932)
野々垣 陽一 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40300719)
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キーワード | ランタノイド化合物 / 半金属 / 半導体低次元量子構造 / 原子層制御成長 / 半金属 / 量子効果 / 半金属―半導体転移 |
研究概要 |
本研究では、従来より取り組んでいる「原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル技術」を再点検してランタノイド化合物(半金属)/半導体低次元量子構造を原子層レベルの精度で精密作製することを第一の目的とする。また、既に確立している放射光を用いたミクロ構造評価技術(蛍光EXAFS法やX線CTR散乱法)を用いて、その成長初期過程を明らかにする。このような量子構造ではヘテロ界面において従来にない大きなエネルギー差、特性差が生じるため、室温において新しい量子効果の発現が期待される。本研究では、従来の半導体/半導体構造では全く考えられなかった、大きな量子効果の発現を確認するとともに、それらを用いた新規デバイス原理を提案することを第二の目的とする。 今年度は『原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル成長技術の確立』を当面の目標とし、InP(半導体:閃亜鉛鉱型結晶構造)基板上へのErP(半金属:岩塩型結晶構造)の原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル成長に取り組んだ。 試料作製には既存の有機金属気相エピタキシャル成長装置を用い、TBP雰囲気中で加熱されたInP(001)基板上にEr原料を供給する方法を採用した。原子レベルでの構造評価手法であるX線CTR散乱/蛍光EXAFS測定を行い、試料中のErが岩塩型結晶構造を有するErPを形成して存在することを明らかにした。原子間力顕微鏡(AFM)や走査トンネル顕微鏡(STM)により、InP基板上に形成されたErPを直接的に観察し、その成長形態が成長温度やEr供給量(Er成長膜厚)に強く依存することを明らかにした。また、走査トンネルスペクトロスコピィ(STS)測定から、形成されたErPがある膜厚(10原子層程度)より薄くなると量子サイズ効果によりバンドギャップが出現し(半金属―半導体転移)、膜厚の減少とともに、それが増大することを見出した。
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