研究課題/領域番号 |
11450126
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉川 公麿 広島大学, ナノデバイス・システム研究センター, 教授 (60304458)
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研究分担者 |
芝原 健太郎 広島大学, ナノデバイス・システム研究センター, 助教授 (50274139)
横山 新 広島大学, ナノデバイス・システム研究センター, 教授 (80144880)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | Cu イオン / ポーラスMSQ / メチルポリシラザン / メチルシルセスキオキサン / 低誘電率膜 / イオンドリフト速度 / キャパシタ / プールフレンケル電流 |
研究概要 |
本研究の目的は有機無機前駆体材料から形成するポーラス低誘電率層間絶縁膜におけるCu配線との界面の挙動について解明することである。その結果としてCuイオンドリフトを抑制する新しい層間絶縁膜材料を創製する。具体的にCuイオンが層間絶縁膜中を電界で移動するドリフト問題のメカニズムを解明するために、Cu電極を有するキャパシタンスを層間絶縁膜上に形成し、高温で電界を印加するBias-Temperature Stress試験を行った後のフラットバンド電圧の変化から移動した電荷量を求める。 2種類の前駆体を検討した。塗布膜前駆体としてメチルポリシラザン(Si_x (NH)_y CH_3)をベースにして空孔発生剤ポロジェン有り無しで、成膜するとポーラスメチルシルセスキオキサン(MSQ)に構造転換できる。Si-NH結合はSi-O-Si結合に変化し、一方でSi-CH_3結合は変化しない。空孔発生剤はプリベークや吸湿プロセス中は膜中に存在するが、400℃焼成後は消滅蒸発する。その結果としてMSQ構造が残る。シリコン基板上のSiO2を介して形成したポーラスMSQとノーマルMSQ膜キャパシタの高温バイアス試験(BTS)前後でCV特性を測定する。ノーマルMSQとポーラスMSQ膜の比誘電率はそれぞれ2.7と2.2である。BTS試験後のCu電極によるCuイオンドリフト起因のフラットバンド電圧シフトはそれぞれ1.183 and 0.204Vである。この結果、ポーラスMSQ膜の場合、フラットバンド電圧シフトがノーマルMSQと比較して小さいことから、Cuイオンドリフト抑制効果があることがわかる。Cuイオンドリフト速度のアレニウスプロットもポーラスMSQ膜の方がCuイオンドリフト速度が小さいことを示している。ただし、活性化エネルギーは1.0-1.1eVでほぼ同じである。Cuイオンドリフトやポーラス構造による膜中欠陥によってポーラスMSQ膜中にプールフレンケル電流が増大する。このため時間依存絶縁膜破壊寿命がポーラスMSQの場合は劣化している。
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