研究課題/領域番号 |
11450129
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小野田 光宣 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (80128785)
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研究分担者 |
多田 和也 姫路工業大学, 工学部, 助手 (90305681)
中山 博史 姫路工業大学, 工学部, 教授 (00047614)
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キーワード | 導電性高分子 / 分子セルフアセンブリ法 / その場重合 / 多層ヘテロ構造 / 光電変換 / 光誘起電荷分離 / 量子サイズ効果 / 電子光機能素子 |
研究概要 |
本研究では、分子レベルで厚さ、分子組成の制御された超薄膜、多層ヘテロ構造薄膜が形成できる新しい製膜技術として開発され、発展しつつある分子セルフアセンブリ法と応用について述べ、この手法により作製した種々の導電性高分子薄膜の電子光物性、特に量子サイズ効果、光誘起電荷分離などについて調べた。この手法は基本的に反対極性に荷電した高分子電解質の静電引力によって製膜するもので、導電性高分子あるいは絶縁性高分子の電解質溶液や導電性高分子のin situ重合液を用いた膜を交互に積層することによって、超分子組成の正確な制御が可能であり、比較的容易に画期的な性能、機能の多層ヘテロ構造素子を作製することができる。特に、導電性高分子の重合時に形成されるポーラロンあるいはバイオポーラロンは正(もしくは負)の電荷を有しているので、この電荷を本セルフアセンブリ法に適用してin situ重合膜の形成過程を調べた。その結果、膜形成過程は大きく基板の影響を受け、製膜過程は3種類あることが分かった。即ち、(1)負に荷電した基板上では均一に製膜が進行する。(2)正に荷電した基板上および親水性基板上では、核のようなものが多数形成されこれが積み重なって膜形成する。(3)疎水性基板上では核が時間経過とともに徐々に大きくなり製膜する。現在のところ核発生の起源は明らかになっていないが、分子セルフアセンブリ膜の製膜過程が多少は解明されたと考える。更に、本研究で扱っているこの様な薄膜では、膜物性は当然のこと作製した素子、デバイスは分子レベルで電気的、光学的性質などを組み替えたり、複合化することができ、まさに超分子機能と呼ぶにふさわしい新しいナノ構造薄膜デバイス、センサなどを作製するのに利用可能であり、分子セルフアセンブリ法による製膜技術は今後ますます進展するものと考える。また、分子間相互作用を利用して分子を配列制御することにより分子系の超構造を実現し、機能発現の源を把握するとともに新規な電子光素子デバイスの開発を目的とした。分子系超構造はナノメートルレベルで制御された集合系であるので、巨視的に制御して作られた分子機能材料に比べて界面における電子現象が大きく関与することが考えられ、量子サイズ効果などを有する新規機能を発現する分子系超構造素子が期待される。導電性高分子の分子セルフアセンブリ法により作製した多層ヘテロ構造超薄膜の電子光物性、バイモルフ型の駆動装置、光電変換効率の高い光電池、などの機能応用を中心にその物性、機構を調べており、配列制御が可能となれば外部刺激にシンクロナイズした画期的な機能素子の実現が可能で、分子駆動を活用したマイクロロボットなど夢のデバイスが可能となるので検討を進めている。
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