研究概要 |
本年度はフォトリソグラフィとイオンミリングによる試料の微細化を中心に行った。試料はDC/RFマグネロトンスパッタ装置を用いて,Si/Au/NiFe/Cu/Co/FeMn/Auのスピンバルブ型を作製した。Si基板の表面はフッ酸を用いて酸化膜を除去し,その後フォトリソとリフトオフにより微細加工し,Alを1.5nm製膜後,10Paの純酸素中で自然酸化を行った。数百ミクロンのサイズに加工した場合も昨年と同様な電流電圧特性が得られ,微細化による特性の劣化は見られなかった。さらに,出力電流の磁界に対するバイアス電圧依存性を測定した。電流の磁界依存性はGMR素子の磁化状態を反映した変化を示し,最大磁界での電流値はバイアス電圧を減少させる事で単調に減少していることが分かった。電流の変化分は0.05μA程度で,昨年の結果と比較してかなり小さな値となっており、電流変化分は、このバイアス電圧範囲内においてはほとんど変化が無いように思われた。上記の結果から,これらの現象の一つの説明として,CIP-GMRによるインピーダンスの変化により垂直方向の分流分の電流そのものの変化を観測しているのではないかと考えられる。
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