研究概要 |
水熱合成によるPZT薄膜の反応プロセスにおいて,反応溶液の攪拌状態とチタン基板面の接触状態を良くすることにより成膜状態が変化し,良好な反応が得られた。このプロセスを用いて作製したマイクロ振動子の振動速度限界を測定することで,材料の動特性を評価した。直径9.8mm,厚さ200μmのチタン基板に12μmのPZT薄膜を成膜した振動板を作製し,たわみ振動による振動速度の限界を測定したところ,共振周波数11.6kHzにおいて最大振動速度1.3m/secを得た。また,長さ7.9mm,幅1mm,厚さ0.1mmの縦振動子においては,共振周波数約300kHzにおいて最大振動速度0.9m/secを得た。これらの値は,通常のバルクPZTにおいて得られる最大振動速度の3倍程度であり,最近改良が進められたハイパワー用PZT材料に匹敵する数値である。また,共振周波数付近での高振幅動作における周波数応答特性が安定しており,この点では既存のバルク材料より優れた特性の材料を売ることができた。総合的に見て,高振幅動作においてはバルク材料よりも優れた特性を実現した。 デバイスとしては,流体中に分散した微粒子を搬送・濃縮するデバイスの試作を行った。また,振動型接触センサの試作を行った。
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