工業及び農業製品の製造工程における含水率制御は製品の品質向上に必要不可欠となっており、種々の固体物質材料・製品の含水率をオンラインで計測できる装置の開発が多くの分野から望まれている。本研究はこれらの要望に応えられる新しい含水率測定法を確立することを目標として11年度から実施された。研究課題に示されている多周波のマイクロ波を用いる測定方法の内、本年度は、前年度確認した2周波のマイクロ波が被測定物質を透過する際の位相変化から物質の含水率を測定できる新しい測定方法について、更にその有効性を確認するための研究を行ない、以下の結果が得られた。 1.多周波マイクロ波位相検出法として9および12GHzの2周波のマイクロ波を用い、それらの移相量の比は含水率に対応し、試料の厚さおよび密度変化の影響はほとんどない。 2.含水率2〜30%の木材6サンプルに対して、平均誤差1.4%、最大誤差4.4%で測定が可能。 3.含水率6〜42%範囲の緑茶用の茶葉912gと1853gを試料とし、試料厚および密度を種々変化させた測定において、平均誤差2.2%、最大誤差5.4%であった。 4.真空を併用した乾燥法によってサンプルを作成することの利点は確認されたが、真空ポンプ中に取り出された水分の除去に課題が残り、利点が活かされた実験には至らなかった。 5.これらの測定結果は、従来のマイクロ波を用いる測定方法と比較して、測定範囲が広く、且つ測定精度が同等以上であることが木材と茶葉の含水率測定において確認された。 6.本測定法に基づいた専用の測定器の製作は、本研究期間には実施できなかったが、実用に向けた研究が期待されている。 上記のように、本研究は多周波(今研究期間では2周波)のマイクロ波を用いる測定方法は、被測定物質の密度や厚さに影響されることなくその含水率が測定できることが確認され、実用化に向けた研究が今後必要である。
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