研究課題/領域番号 |
11450139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
皆方 誠 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80174085)
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研究分担者 |
野村 卓志 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (90172816)
石川 賢司 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (50022140)
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キーワード | ナノメータサイズ分極反転 / 大容量高密度メモリ / LiTaO_3 / LiNbO_3 / クーロン相互作用 / 核形成しきい値 / 広がりしきい値 / ガードリング |
研究概要 |
本年度は、電子ビーム描画装置を用いて微少反転ドットを作成した。分極反転制御を行う場合、注入された電子間には強いクーロン相互作用が働くことが予想され、ナノメートル分極制御に大きな影響を与える可能性がある。そこで、微小パターンを描画する前にその周辺に電子濃度の異なるガードリングを形成し、クーロン相互作用が分極反転に与える影響を調べた。 同一の大きさの微小領域に描画を行って比較した結果、リングなしでは分極反転は得られなかったが、リングを形成した試料では分極反転が見られ、リングの電子密度を増加すると反転領域の大きさも増加した。これより、クーロン相互作用の存在を実証した。 これまでに、電子照射量と分極反転部分の面積が必ずしも比例しない原因は、分極反転に「核形成しきい値」と「広がりしきい値」の二つのしきい値が存在するためであることを明らかにしてきた。リングなしで微小領域と描画した場合には、蓄積電荷が「核形成しきい値」に達しないため反転しない。ガードリングの作用は、描画した微小領域の電荷がリングとのクーロン相互作用によって中央部に吹き寄せられ、「核形成しきい値」を越えるためであると説明できる。このとき、反転領域の大きさは、電界の強さが「広がりしきい値」を越える領域に決定される。ガードリングの電荷を増すと、相互作用が強くなることにより、「広がりしきい値」を越える領域が増加したと考えられる。 電子ビームをライン上に走査した場合、クーロン相互作用によってお互いに反発し合うモデルを用いて、形成される反転パターン形状を説明してきたが、今回の結果によってこれを実証できた。 ナノメータサイズの分極反転を実現するために、東北大学金属材料研究所との共同研究(変調構造材料)によってMBE(分子線エピタキシ)およびイオン打ち込み法を用い、AFMを用いたナノメータ分極構造の実現に向けて研究を進めている。
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