イメージセンサ上で超並列画像処理を行う超高速ビジョンチップは、ロボットビジョン、FA、自動車自動運行システム(ITS)などにおいて、リアルタイム画像処理を実現する上での今後の基幹デバイスとなる。その実現において、まず解決すべき重要な課題は、イメージセンサ部からの画像信号を並列かつ超高速にA/D変換を行い、オンチップの並列処理プロセッサに受け渡すことである。本研究では、このような超高速ビジョンシステムLSIの実現の鍵を握る、センサ上での超高速動画像A/D変換の新しい方式について、その基礎検討から基本LSI回路試作、最終的にセンサ上に集積化したデバイスの試作までを行うことにより、その性能を明らかにすることを目的としている。本年度は、動画像の相関を利用して、高速性と低消費電力特性を両立できる新しいA/D変換方式を考案し、実際に従来の直並列型に比べて、8bit精度で、約4分の1、10ビット精度では約6分の1の比較器数で実現でき、変換速度を同時にできることを明らかにした。また、その基本A/D変換方式として、サイクリックパイプラインA/D変換方式が、イメージセンサの読み出し動作と同期して効率よくA/D変換が行えることが明らかとなり、実際に設計を行うことにより、256×256画素で、毎秒10000枚の超高速撮像に対応できることが分かった。今後はさらに解析・設計を進め、超高速ビジョンチップの実現に向け、CMOSイメージセンサとA/D変換器までを集積化したデバイスの試作まで行う。
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