研究分担者 |
高木 茂孝 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10187932)
石川 雅之 木更津工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (50143665)
西原 明法 東京工業大学, 教育工学開発センター, 教授 (90114884)
和田 和千 豊橋技術科学大学, 情報工学系, 講師 (00302943)
高窪 かをり 東海大学, 工学部, 講師 (40282834)
|
研究概要 |
次世代高性能アナログ集積回路の実現を目標として,アナログ回路の基本構成要素及ぴアナログ回路の自動合成手法の検討を中心に研究を行った. 集積回路プロセス技術の進歩により素子は微細化し,低消費電力で高速に動作する.しかし,素子の微細化による素子耐圧の低下のため電源電圧が低下してきている.これに対応するため,3V以下の低電源電圧で動作可能で,しかも回路中の最も低い電位から最も高い電位までの範囲の入力を許容できるアナログ基本構成要素を各種提案した.まず,MOSFETには電流が流れない遮断領域と呼ばれる領域があり,この遮断領域のため入力電圧範囲が限定されていることに着目し,遮断領域を持たない等価MOSFET回路を提案した.さらに,別の方法として,仕様から定まる最大入力電圧範囲を回路の入力範囲に一致させる変換回路を提案し,広い入力電圧範囲を持った回路を容易に実現できることを示した.また,従来から良く集積回路で用いられているスイッチトキャパシタ回路を少ない素子数で,しかも特性を損なわずに実現する手法についても提案した. 以上のアナログ回路の基本構成要素の設計手法を基に,今年度はアナログ回路を自動合成する手法についても検討を行った.まず,直流電流パスによりアナログ回路が部分回路に分割できることに着目し,逆に小規模の直流電流パスを構成する回路からより規模の大きいアナログ回路を計算機により自動的に導出するアルゴリズムを提案した.さらに,アナログ回路の基本構成要素の特徴抽出を行い,特徴抽出を行った基本構成要素にはない機能を持った回路を導出するアルゴリズムの提案も行った. 以上の研究成果の他に,アナログ・ディジタル混載LSIを考慮し,ディジタル回路からアナログ回路へ混入する雑音を能動的に打ち消す手法を提案し,実際に集積回路上で雑音低減効果があることを確認した. 今後は,これらの成果を基に,より大規模なアナログ集積回路の構成について検討し,集積回路化に不可欠なレイアウト手法についても検討を進めていく.
|