研究概要 |
本研究では,将来の高速なマルチメディア通信網の高度化を実現する要素技術の確立をめざし,まず,レイヤ2でラベルによる高速スイッチングを行う転送技術である MPLS(Multi-Protocol Label Switching)におけるサービスクラスを定義し,そのクラスに基づいた適応的パス切替方式を提案した.本提案方式では,MPLSヘッダにおけるCoSフィールドを用いて,Premium,Assured と呼ばれる帯域保証型と,Best-Effort 型フロー(4つのサブクラス化)に分類し,より細かなサービスの実現を目指した.さらに,適応的トラヒックエンジニアリング手法としてエッジルータ間に複数本の LSP を設定し,負荷状況に応じて適応的にフローが通過するLSPの割当てや切替えを行う手法を提案した.これらの制御はエッジルータに設置されたフローおよびLSPの管理テーブル情報に基づいて行われる。帯域保証型フローは空き領域のあるLSPに,Best-Effort 型フローはそのサブクラスの特性によって適応的に割当てられる.また,各ルータの出力バッファ部においては,HOL(Head of Line)スケジューリングやRED(Random Early Detection)等の制御を組み合わせることにより,サービスの差別化を図る.計算機シミュレーションによる性能評価の結果,本提案方式による制御手法が効果的に実行され,全体的なスループット向上が達成されることを示した. 一方,本研究では,高度VODシステムの確立を目指し,Burst-VOD 方式を提案した.本方式は,分割した映像ブロック単位のバースト配信を行う.また,適切なスケジューリングとマルチキャスト配信により,オンデマンド性と帯域利用の効率性を実現する.本方式に関しても性能評価を通して網利用率の改善効果の保証や適切なタイムスケジューリングパラメータの導出を行った。
|