研究概要 |
本研究プロジェクトでは,動画像アーカイブ実現のために必要な,動画像に固有な特徴情報を抽出する方法,動画像特徴を用いた動画像検索システムに関する研究を行うことを目的としている。本研究プロジェクトに先立ち,我々は本研究の基礎となる動作語を用いた映像検索方式等,各種映像検索方式や映像編集機能への応用等を研究してきた。これらの研究成果をべースとし,本研究では動画像を構成する各静止画フレームの平均色情報を3次元色空間に配置することで形成される形や軌跡が、動画像の特徴を表すという基本アイディアを考案し,研究を継続して行っている。この動画像特徴を本研究では、「画紋」と称している。平成11年度は,主に画紋を時間軸に射影した時間軸画紋について検討を行った。時間軸画紋とは,動画像を構成する各静止画フレームの平均色の時系列変化情報となり、横軸に時間、縦軸に画素値を取ると各色成分のグラフの一致・不一致を判定することで実現する。また,この検証のために画質の安定ない実際のテレビ放送からCHを検出する実験を行ったところ,検出漏れ0,過剰検出0を達成した。平成12年度は,画紋を使用したシステムを想定した方式検討を行った.具体的には,動画像アーカイブ中の大量の動画像コンテンツから、ユーザが望む動画像を高速,かつ高精度に検索するための階層的な動画像検索手法を検討した。この検討により,既提案の動画像検索手法より約13倍の高速化(実際の放送時間と比較し20,000倍)を達成することができた。また,「画紋」による動画像特徴情報抽出は,現在ISO/IEC JTC1 SC29 WG11(MPEG)で標準化が行われているマルチメディアコンテンツ記述インタフェース(MPEG7)の映像記述方式として提案し,採用されており,標準化活動にも大きく貢献している。
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