研究概要 |
本研究の目的は,歯科インプラントの植立状態を評価するためにインプラントの動揺を測定するシステムを開発することである。研究期間は3年であるが,まずシステム開発のための基礎データの採取とシステムの基礎設計,さらに臨床試用が可能で簡便なDIM(Dental Implant Mobility)テスタ(DIM-I型)の試作・評価を行った後,DIM-II型を製作し,総合評価を行ってシステムの開発を完了する。研究代表者(岡久雄)は主にインプラント植立模型でのデータ採取およびシステムの設計を行い,研究分担者(更谷啓治)は,口腔内に植立されたインプラントを中心とした臨床データの採取および試作システムの臨床評価を行う。 平成11年度は以下の内容について研究を実施した。 (1)測定システム開発のための基礎データの採取:新たに購入した増幅器を利用して,まず,多くの歯科インプラントの機械モビリティの周波数特性の臨床データを採取し,DIMテスタを動作させる最適な測定周波数について検討したところ,天然歯の場合と同様に,300〜500Hzが適していることがわかった。さらにインプラントに加える振動や初期荷重の大きさについて検討し,その結果をもとに,岡山大学ではインプラント植立模型を製作した。また大阪歯科大学では口腔内に植立されたインプラントで基礎的な検討を行った。 (2)DIMテスタ本体及び測定プローブの設計:(1)での検討結果をもとに,DIM用測定プローブの基本設計を行った。測定プローブは先端がφ10mmの小型に設計したので,大小臼歯あたりに植立されるインプラントの測定も可能である。またテスタ本体は,チェアサイドでの使用が可能でかつ携帯型となるよう,アンプの小型化やインプラントの動揺指標の表示法,プローブの操作性などを考慮して設計した。 (3)臨床試用DIM-I型の試作:これらの結果をもとに,臨床試用DIM-I型を設計・購入し,岡山大学および研究分担者の大阪歯科大学において,臨床データの採取およびシステムの評価を行った。
|