研究概要 |
今年度に予定された研究課題は次の通りである. (4)モデル集合の複雑度と制御集合の間の関係 (5)複雑度に基づく時変制御器の設計方の確立 (4)については制御系設計を考慮したモデルの選択・推定の研究を行った.すなわち制御系のモデリングを,後に続く制御系設計での性能の劣化が少ないように行うという考え方を示し,これに基づいて赤池情報量基準を拡張した複雑度の概念を導いた.またモデル集合同定法を考え,学習理論的な確率不等式を考えることによって,対象に関する仮定が少なくサンプル複雑度も小さい同定法が得られることを示した. (5)についてはモデル駆動制御の提案を行った.これはフィードバック誤差に基づいてフィードフォワード制御器を適応させ,時間とともに制御対象の逆モデルを学習する制御系であり,生体の運動制御のモデルと考えることもできる.具体的成果として,上記の制御法の安定性を証明した,特に従来の適応制御ではしばしば乗り越えることのできない問題であったむだ時間について克服が可能であることを示した.また,同様の考え方をブレンディングコントロール,内部モデル制御などに拡張することを検討中である.
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