支承-橋脚-基礎系からなる橋梁システムを対象に耐用期間中に生起すると思われる終局限界状態を抽出・定義し、各限界状態から算定される破壊確率算定法を提案した。主な結果は以下のとおりである。 1.我が国における主要10都市を対象とした地震危険度解析法を提案した。解析にあたり、ある地震動強さに対して、1年間に地震動強さがそれを越える確率を求めることとし、また、比較的精度が低いといわれている歴史地震データを有効にもちいる工夫をした。 2.RC構造を対象に終局限界状態を定量的に定義した。特に、繰り返し荷重を受けることによる損傷の累積を損傷指標として定義し、複数回の地震動が作用した後のRC構造物の損傷の累積度を定量的に評価できる手法を確立した。終局限界状態は履歴エネルギー、軸方向鉄筋の屈指点、およびせん断補強鉄筋の降伏などに着目して定義した。 3.支承-橋脚-基礎系からなる橋梁システムを対象にした動的解析プログラムを開発した。モデル化に当たっては、汎用有限要素プログラムを使用した全体系解析の他に、平成12年度以降に予定している実設計への提案を考慮し、質点系による簡易モデルも構築した。 4.確率値の算定に必要となる解析モデルに介在する各種不確定要因についてその統計的パラメーターについて調査した。さらに、例えばN値などの地盤定数やコンクリート強度などの材料定数のばらつきが、地震応答解析に与える影響をモンテカルロ法を用いて解析した。
|