研究分担者 |
香月 智 防衛大学校, システム工学群・建設環境工学科, 助教授
日野 伸一 九州大学, 大学院・工学研究院・建設デザイン部門, 助教授 (00136532)
石川 信隆 防衛大学校, システム工学群・建設環境工学科, 教授
原田 耕司 西松建設株式会社, 技術研究所, 研究員
園田 佳巨 九州大学, 大学院・工学研究院・建設デザイン部門, 助教授 (40304737)
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研究概要 |
平成11年度は、衝撃的上下動によるRC橋脚の損傷に関する基礎的な検討として、(1)防衛大学校所有の衝撃実験装置を用い、直径10cm,高さ30cmのRC橋脚模型の衝撃的上下動による輪切り状ひび割れ現象の再現,(2)帯鉄筋補強や主鉄筋補強の段落としがひび割れ発生に及ぼす影響に関する実験とその解析的な検討を行った。次に、西松建設所有の衝撃上下動載荷装置を用い、直径30cm,高さ1mのフーチング基礎連接型のRC橋脚模型で同様の実験を行い、輪切り状破壊を再現した。これらの検討より、輪切り状損傷は応力波よりも上部構造との相互作用による振動の影響が主原因であることを把握した。 その後、直径10cm,高さ30cmのRC橋脚模型を用い、アラミド繊維,ビニロン繊維,炭素繊維および鋼鈑巻き立ての各種補強が、輪切り状ひび割れを防止する効果について実験を行い、繊維補強は鋼鈑巻き立てと同等の効果があるが、無補強部分との境界においてひび割れ発生の可能性があり、水平地震動に対する耐力についても検討が必要であることを明らかにした。 平成12年度は、輪切り状ひび割れが水平耐力低下に及ぼす影響と、それに対する繊維補強の有効性について検討した。すなわち,(1)衝撃的突き上げ実験装置により、繊維補強を行わない供試体に輪切り状ひび割れを生じさせた後に,高速水平載荷試験を実施した。その結果、輪切り状ひび割れのある供試体には,顕著なじん性低下が認められた。(2)次に、アラミド繊維補強を施した供試体に同様の実験を行い、水平耐力とじん性の低下を防止する効果があることを確かめた。 以上の成果を総合し、 (1)直下型地震による衝撃的上下動により、RC橋脚に輪切り状ひび割れが発生する可能性があること。 (2)その損傷により、水平地震動に対する抵抗力が低下する可能性があること。 (3)繊維巻き立て補強は、上下動による損傷防止に有効であることを明らかにした。
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