研究課題
基盤研究(B)
中空ねじりせん断装置を改造して、繰り返しせん断と液状化の後に、一方向高速ねじりせん断を大ひずみ領域まで行なえるようにした。これによって液状化した斜面や基礎地盤の挙動を模擬できるようにした。高速せん断の速度を変化させることにより、液状化砂のひずみ速度依存性の有無を検証することをめざした。しかし実験を始めてみると、次のような問題点に遭遇し、記述のように対応した。1)砂試料が完全に液状化すると有効応力がゼロとなり、試料が崩壊して実験が継続できない。したがって繰り返しせん断時の過剰間隙水圧上昇を99%程度で止めなければならない。2)繰り返しせん断時に5%程度のせん断ひずみを体験した試料には、上端に水膜が発生し、一方向へのせん断時に試料が過度に軟らかく見えてしまう。繰り返し時のひずみは2.5%程度に抑えなければならない。3)液状化して有効応力が微小になった状態では、砂粒子の水中重量によって、供試体上部ほど有効応力が小さく不均一になる。一方実地盤では上向き浸透流によって、有効応力は一様に消滅している。このような状況を中空非排水せん断試験では、再現できない。これら諸問題の内で1と2は対策を講じたが、3は試験法の限界であり、対応できなかった、そのような条件の下で実験を行い、次のような結果を得た。ア)一方向高速せん断の初期には、有効応力の回復(ダイレイタンシー)の始まらない状態がある。その段階でも砂には微小なせん断剛性がある。イ)この微小なせん断剛性の大きさは、せん断ひずみ速度に依存しない。ウ)有効応力未回復状態のひずみの上限も、せん断ひずみ速度に依存しない。エ)以上の考察は、初期の圧密応力が等方的であると異法的であるとを問わず、また斜面のような初期せん断応力の有無にも影響されない。オ)従って、液状化砂には従来模型実験から推定されていたようなひずみ速度依存性は、存在しない。
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