研究概要 |
1.様々な勤務体系下における鉄道通勤者の出勤時刻選択行動のモデル化 鉄道ダイヤを表現する時空間ネットワーク上での配分に適用可能な形で,利用者の出勤時刻選択行動モデルを構築した.本モデルは,様々勤務制度適用者それぞれについて,鉄道混雑回避行動,遅刻回避行動,勤務時間前後の余暇行動を定式化し,それらの総和を利用者の効用として,効用が最大になるように出勤時刻を選択するとするものである.モデルに取り込まれる項目の詳細については,鉄道利用者の行動を調査し,データを解析した. 2.3次元時空間ネットワークの構築およびネットワーク上の利用者配分手法の確立 時空間ネットワークは,自宅から乗車するまでの課程を表すアクセスリンク,電車での移動を表す乗車リンク,そして降車から勤務先まで課程を表すイグレスリンクの三種類のリンクによって構成される.全てのリンクが時間的・空間的経過を表しており,それぞれのコストはネットワーク上の配分手法に適用可能な形になっている. 3.鉄道旅客の時刻集中特性予測への適用 首都圏の鉄道ネットワークに時間軸を加えて,3次元時空間ネットワークを構築する前段階として,郊外路線の上がり方向の需要集中特性をマクロ的に予測することに主眼をおき,首都圏の鉄道ネットワークを1次元・1方向に簡略化した.この簡略化により,計算時間が大幅に短縮され,操作性の向上も達成できる.この2次元時空間ネットワーク上での利用者の配分の結果,首都圏の鉄道における時刻集中特性の現状を高い精度で再現することができた.これは,この手法が首都圏鉄道のマクロな投資レベルを決定する際のツールとして利用される可能性を示している.
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