研究概要 |
平成12年度は,まず,前年度構築した非補償型行動原理及び行動変更の閾値効果を考慮した離散選択モデルをより一般的な確率モデルに拡張した上で,都心部への買い物交通を対象にダイナミックパークアンドライドの需要予測分析を行なった.その結果,所要時間に対する感度は全般的に低く,かつ,短縮時間の増加に対してパークアンドライドのシェアの増加割合は逓減する一方で,費用に対する感度は比較的高く,加えて自動車との費用差が500円以内になると急激にシェアが増加するという行動変化の閾値効果が観測された. 次に,道路交通情報が都市圏レベルでの道路交通需要に及ぼす影響の分析を,前年度の研究成果を踏まえ,中京都市圏道路ネットワークを対象として均衡配分手法を用いて行なった.まず,現実の道路網においては等時間原則は成立しておらず,むしろ道路ネットワークの認知等を含めた効用レベルで均衡しているとの認識のもと,リンクパフォーマンス関数にそれら要因の影響を反映できるような形に修正する方法論を展開した.その結果,特にオフピーク時において,都市高速道路の現況再現性が向上するなど,その有効性が確認された. 同様に,ドライバーの情報の不完全性を考慮した配分手法として,ドライバーを所要時間及び道路ネットワークの認知状況に応じて,完全情報を有している場合は確定的利用者均衡配分,所要時間が不完全な場合は最短経路へのall-or-nothing配分,ネットワーク情報が不完全な場合は経路集合を限定した確定的利用者均衡配分というように異なるセグメントに分割し,その構成比率を変化させて配分を行なった.その結果,全体の約20%のドライバーが不完全情報下で経路選択を行なっているとした場合に最も現況再現性が高いという結果が得られた.また,提案モデルを用いて,通常時及び事故・災害時における経路所要時間情報の効果を算出したところ,共にかなり大きな便益が得られることが示された.
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