研究概要 |
ごみ焼却炉におけるダイオキシン類やPCB類の濃度は、燃焼時に生成する未燃焼ガスの濃度に依存する。未燃焼ガスはごみの燃え始めの非定常状態において高濃度で生成すると考えられ、立ち上げ・立ち下げが繰り返されるバッチ燃焼炉では未燃ガスの濃度変化が顕著であると考えられる。本研究では、固形ごみ燃焼未燃焼ガスの生成を電気炉実験およびバッチ燃焼炉を用いた実験により計測し、一酸化炭素濃度や炭化水素濃度の動的な挙動をモデル化するとともに、計算機シミュレーションを通して焼却炉内部の温度・濃度の時間変化を求める研究を行った。以下に要点を整理する。 (1)熱重量分析によるごみの熱分解・燃焼特性の表現 熱重量分析計を用いて家庭ごみの組成ごとに熱重量分析を行い、それぞれの反応速度定数を求め、それらの加成性を実験により確認したうえで、代表ごみの熱分解・燃焼特性を表した。 (2)ごみの熱分解における一酸化炭素および炭化水素の生成モデル同定 ある程度の大きさの固形廃棄物を、雰囲気温度・含水率・見かけ密度を変えて電気炉で熱分解・燃焼させ、一酸化炭素の生成挙動を水分蒸発、分解燃焼、および一酸化炭素の一時的上昇を表す4次遅れ伝達関数で表した。 (3)バッチ燃焼炉による燃焼実験 さらに、現実大の紙とプラスチック(PE, PS, PVC)をバッチ燃焼炉で燃やし、排ガス中各種成分濃度を連続測定した。同時にダイオキシン前駆体であるクロロフェノール(CP)をオンライン測定し、PVCと他のプラスチックを同時に燃焼するとCP濃度が低下する傾向を見つけた。 (4)ごみ燃焼と燃焼ガスのハイブリッドシミュレーション ごみ燃焼モデルと熱流体モデルによるハイブリッドシミュレーションにより、燃焼炉内における非定常時のみ燃焼ガスの流速、濃度、温度の3次元分布を求めた。また、二次燃焼室の形状を変えることによる未燃ガスの濃度変化についても考察した。
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