研究課題
基盤研究(B)
新素材を用いた鉄筋コンクリート造柱のせん断耐震補強に関して以下の検討を行った。(1)腰壁付き柱のせん断補強方法に関して実験的な検討を行った。腰壁付き柱の場合には、腰壁と柱の境界部にスリットを設けて独立柱にして扱うのが現状の方法であるが、本研究では腰壁をも補強して高耐力・高靭性化を目指したもので、腰壁と柱脚部の補強方法を実験変数として5体の試験体を作成して繰り返し水平加力実験を行った。柱の補教材には炭素繊維シート(以下CFS)を用い、窓開口部柱は一定量のCFSを巻き付けたが、壁横の柱脚部では補強高さを実験変数とした。また、腰壁の補強には鋼板を壁の両側に挟みこれを貫通ボルトで止め付ける方法を用い、鋼板の幅と高さおよび断面形状(帯板、等辺アングル、不等辺アングル)を実験変数とした。この結果、a)腰壁および柱脚の必要補強高さは、柱せいの3分の2以上であること、b)柱脚CFSの両端部は壁補強鋼板に定着させる必要があること、c)柱の曲げ耐力はCFS補強によって2割以上の上昇が期待できること、d)上記のaとbを満足する補強を行えば荷重変形履歴ループがエネルギー吸収能力の高い紡錘形に改善されること、等を明らかにした。(2)2本の柱間に挟まれる腰壁の地震時挙動を把握するために、応力状態が明快であり、腰壁端部の側圧を計測できるロードセルを内蔵した鋼製柱を用いた1スパン腰壁試験体を2体製作して、水平加力実験を行い、高さ方向の腰壁抵抗力分布と腰壁の破壊形式を調べた。(3)新素材を用いたハイブリッド形シートの力学的性状について既往の文献調査を行った。
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