研究概要 |
平成12年度の研究実績は以下の通りである。 平成12年度においては,潮岬風力実験所内の観測フィールドに設置された模型を用いて,自然風中における計測データの遠隔自動観測を行うために,無線電話回線であるPHSデータ通信システムを経由して,宇治にある京都大学防災研究所内の研究室に設置されたデータ収集用のコンピュータとの回線を確立した。これにより,研究室に置かれたコンピューターからの遠隔操作によるデータ収録が可能となった。その後,この高機能型データ収録システムを利用して,季節風や低気圧性の強風が発生した際に,種々の自然風中での模型内および付近の地面に掘られたマンホール内の静圧を絶対圧計で計測し、その時間変動の性状を解析した。観測された静圧の変動は,長時間スケールの変動成分と短時間の変動成分に分け,広範囲の大気の圧力場の変動に起因する成分と,模型付近の風速変動場に起因する静圧の変動成分に分離した。これにより,長周期の変動成分を除いた風速変動による圧の寄与分を評価した。また,観測フィールドには大・中・小3つの大きさの異なる角柱模型が設置され,壁面に作用する風圧力の性状と,それぞれの模型頂部に設置された超音波風速計による基準位置における風速変動の同時測定を行った。この測定結果を用いて,スケールの違い,すなわちレイノルズ数の違いによる風速・風圧場の変化を比較した。とくに,角柱模型大(高さ8m)においては,作用する風圧力を180点の圧力センサーを用いて同時計測し、自然風中に置かれた角柱側面に発生する局部負圧の性状を詳細に調べた。
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