研究課題/領域番号 |
11450211
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川瀬 博 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (30311856)
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研究分担者 |
釜江 克宏 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (50161196)
岩田 知孝 京都大学, 防災研究所, 助手 (80211762)
多賀 直恒 福岡大学, 工学部, 教授 (40023080)
佐藤 智美 大崎総合研究所, 主任研究員
佐藤 俊明 大崎総合研究所, 主席研究員
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キーワード | サイト特性 / 強震動 / 微動 / アレー観測 / 震源 / 伝播経路 / 水平 / 上下比 |
研究概要 |
本研究は、構造物を設計する際に想定すべき地震力を、物理モデルに基づいて定量的に評価する地震入力評価法を開発することを目的としている。物理モデルに基づいた地震入力評価法は汎用性・拡張性が高く、活断層などから将来の地震を想定した場合の地震入力評価法としては大変すぐれている。しかし、モデルパラメターとして物理モデルの定数を必要としており、その設定は現実に即したものでなければならない。特に軟弱な堆積盆地に立地する日本の都市ではサイト特性の評価が極めて重要である。本研究では各種のサイト特性評価法を提案し、さらに強震観測記録によって予測手法の検証を行ない定量的な地震入力評価法として提案することを目的としている。本年度は昨年度実施した九州地方のK-NETデータを用いて抽出した統計的スペクトル特性のうちの各地点のサイト特性を利用して、その直下のS波速度構造を同定する手法を開発し、実際に観測データに適用してK-NET観測点の深いS波速度構造を求めた。平行してK-NETデータから、そのP波部分、S波部分、および後続動(Coda波)部分の水平/上下比を求め、その周波数特性を上述のサイト特性やS波の環論増幅特性、およびRayleigh波の理論水平/上下比と比較した。その結果、観測された水平/上下比は抽出されたサイト特性とよく対応すること、しかし一部地点ではRayleigh波の理論水平/上下比の方によりよく一致していることがわかった。震源モデルについては、鳥取県西部地震の震源モデルを、あらかじめアスペリティの位置とサイズを抽出したのちに、その中の平均すべり速度関数を理論的計算と観測波形が一致するようにフォワードモデリングにより同定するという手続きにより求めた。その結果、兵庫県南部地震の最大すべり速度とほぼ同程度の最大すべり速度が得られた。こうした震源破壊過程の詳細な情報と、これまで本研究で追求してきた統計的強震動予測手法を理論的予測手法と組み合わせることにより、広帯域の強震動予測が可能となった。
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