研究概要 |
建築のエネルギー性能評価に関して、ヨーロッパ諸国に比べ冷房需要が多い日本では、エネルギー多消費型の建築になる傾向がみられる恐れがある。本研究は、気象条件の違い、居住習慣の違いがどのように建築のエネルギー性能に影響するのかを定量的に示し、国際比較を行うことが目的である。今年度は、平成12年度、13年度研究のための基盤を整備するため以下の項目について検討を行った。 1)建築のエネルギー性能予測に用いるためのシミュレーションプログラムとして開発を行っている EESLISM の汎用的適用可能性を示すため、超高層校舎、集合住宅、戸建て住宅などについてシミュレーションを行い、建築のエネルギー性能予測に広く適用できることを検証した。また、測定値との比較によりシミュレーションプログラムの再現性の精度を検証するため、超高層大学校舎ビルや太陽熱利用住宅などについて実測方法の検討およびデータの収集を行った。 2)気象データ発生ソフトウェアMETEONORM,ASHRAE気象データ、韓国標準気象データなど海外の気象データを収集し、毎時のシミュレーションへの適用可能性を検討した。METEONORMについては適用可能性を確認するためヨーロッパと日本の数都市について、戸建て住宅モデルを設定しシミュレーションを実施し、熱負荷の性状を比較した。 3)住宅、事務所ビルについてシミュレーションを行う際に必要な、建物モデル、建築熱性能仕様および室内環境や室内発熱などの建物利用条件など、シミュレーション実施時に必要な条件設定方法について、IEA太陽熱暖房冷房プロジェクトでの動向やBuilding Simulationをはじめとする国際会議の文献などの調査を行った。
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