昨年度に続いて、田園都市(ガーデン・サバーブ)に関する主要文献を網羅するリストを作成する作業と平行して、その基本理念について原テキストを丹念に再読する作業をまず行った。また、英国植民都市の歴史を総括する『オブ・プランティング・アンド・プランニング…英国植民都市の形成』の翻訳作業を完了し、2001年度に京都大学学術出版会から出版することとなった。さらに続けて、19世紀末から20世紀にかけて、植民地で活躍した建築家、都市計画家の仕事を明らかにする基礎的な文献収集を行った。 E.ハワードが唯一現存する都市として言及したアデレードのC.C.リードとミッチャム・ガーデン(コーネル・ライト・ガーデン)については具体的調査をもとにした論考をまとめた。A.トンプソンとパインランズ(ケープ・タウン、南アフリカ)については論文をまとめる作業を続行中である。具体的な調査として、インドでカルカッタのガーデン・ハウスが面的に建設されたチョウリンギー地区、ムンバイ(ボンベイ)のチョウル密集地区、チェンナイのガーデンハウスについての資料を収集した。東南アジアについてはマレーシアおよびインドネシアについて資料収集を行った。来年度に向けて、以上の事例を中心として、「田園都市計画思想の世界史的展開」をめぐってまとめとしたい。
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