(1)中近世の琉球王国の首都である首里とその外港である那覇を中心的な対象として、「王都」の空間構造を検討した。中世から近世にかけての状況についての研究成果の一部に、高橋康夫:「古琉球の環境文化-禅宗寺院とその境致-」、『都市・建築・歴史 第4巻 中世の文化と場』、東京大学出版会、2002年出版予定(原稿は2001.12提出済み)がある。引き続き、近世の環境文化についての研究成果を2002年中に学術論文として雑誌に投稿する予定である。 (2)また近代北海道の首都というべき札幌について、基礎史料の実証的分析にもとづいた都市形成史研究を実施した。中世の京都や鎌倉、奈良などとの比較を試み、日本中世「王都」の比較史的検討を行った。 (3)これまでの主要な研究項目である京都の鳥羽・白河・嵯峨、また鎌倉と奈良などの都市空間の構造、また名所の成立と寺社参詣から「三都」の関係構造、中国・南宋の環境思想の将来と伝播などについて、昨年度の知見を踏まえ、いっそう資料収集を推進し、これまでの見解を再検討した。成果の一部は、下記の著書・論文に反映されている。高橋康夫:『京町家・千年のあゆみ』、学芸出版社、2001.6、高橋康夫:「京町家の庭」、『国際交流』、第93号、国際交流基金、pp.4-9、2001.10、高橋康夫:「織田信長と京の城」、『豊臣秀吉と京都-聚楽第・御土居と伏見城』、文理閣、pp.3-17、2001.12 (4)日本中世「王都」の成立と展開に関する参考文献・資料・史料・絵画史料・地図の収集とデータ入力を行い、研究支援データベースを構築した。 (5)本年度は、研究の最終年度に当たるので、以上を総括して、研究成果報告書を作成した。
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