研究課題/領域番号 |
11450237
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114882)
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研究分担者 |
金澤 幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80302967)
福山 博之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40252259)
須佐 匡裕 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90187691)
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キーワード | アークプラズマ / 電気化学 / スラグ / 蒸発 / 屈折率 |
研究概要 |
移行型直流アークプラズマ装置内に小型電気炉を設置し、昨年度に引き続き25mol%Na_2O-75mol%SiO_2スラグを溶解した。ルツボ底面には鉄を敷きアノードとし、溶融スラグに直流アルゴンアークプラズマを作用させた。この熱プラズマ装置はカソードとなるプラズマトーチで非移行型の熱プラズマを同時に発生させるハイブリッド型になっている。移行型と非移行型の電流をそれぞれ測定したところ、全電流約10Aの内、移行型として流れる電流は40mA程度である。実験後のスラグのアノード側は黒く色づいており、酸化した鉄イオンが拡散していた。スラグに溶解した鉄イオン総量と移行型電流による電気量とはファラデーの法則を満足した。すなわち、Na_2O+Fe→FeO+2Na^++2eなる反応が起きている。一方、スラグの組成は実験前後でNa/Si比は大きくなり、チャンバーの天井には白い粉末が付着していた。昨年度に指摘したように、この現象は熱力学的なNa2Oの蒸発現象としては説明できず、SiO(g)として蒸発している。また、この蒸発量はファラデーの法則を用いて移行型の電気量から計算される蒸発量の10倍程度である。したがって、熱プラズマ中のAr+イオンと電子のシャワーが溶融スラグ界面で、SiO2(slag)+2e(熱プラズマ)→SiO(g)+O2-(slag)という電気化学的反応をする他、SiO2(slag)+2e(熱プラズマ)+2Ar+→SiO(g)+(1/2)O2+2Arなる反応で反応が進行していると考えられる。 この状態を分光学的に測定する方法として、スラグ表面の屈折率を高温エリプソメーターにより測定した。本年度は装置の設計・作製と高温域におけるアルカリシリケートの表面屈折率を1200〜1850Kの温度範囲で決定した。屈折率から計算される酸素イオン分極率はK,Na,Liの順に小さくなり、また、温度上昇と共に大きくなり、電子を放出し易くなることが分かった。
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