研究概要 |
Bi,Pbなどの揮発成分を含むため特殊なセルを考案した。すなわち銀基板に所定の組成の仮焼体を塗布したものを銀の小さな箱に入れ、さらに銀の蓋で密閉した。これにより約750から850oCの温度範囲では銀を通して外気と酸素は出入りするが、他のカチオン元素は散逸しなくなる。このセルを用いることにより平衡状態図を作成することが容易となった。対象とする状態図は膨大であるため超伝導相Bi2212およびBi2223を含む相平衡関係を中心として調べた。とくにBi2212からBi2223への相変換機構について検討した。これらのデータを次ぎに述べる計算ソフトに入力し、多元系状態図を作成する。最初の実験では酸素分圧一定(大気圧)として、不変系反応を起こす組成、温度と相関係の実験条件を明らかにした。予測される不変系と自由度1の領域の条件をすべて入力すると、可能な状態図の形(スケルトン)が一意的ではないが少数決まるような多元系状態図作成計算機ソフトのアルゴリズムをThermo-Calcを利用して構築した。 現在高Jc化が達成されているBi2212およびBi2223線材の組織は4〜6相の多相組織であり、Ag/Bi2223線材ではBi2223相の体積分率が90〜95%程度あり、これらの試料の超伝導特性および疲労特性を含む機械的性質を調べ、最適組成と試料作成条件を判定した。
|