研究課題/領域番号 |
11450240
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
友清 芳二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40037891)
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研究分担者 |
渡辺 万三志 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10304734)
松村 晶 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60150520)
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キーワード | 酸化物超伝導体 / YBa2Cu3Oy / 臨界電流密度 / 収束電子回折 / エネルギーフィルター / 構造因子 / 不可逆磁場 / キャリアー分布 |
研究概要 |
目的:YBa2Cu3Oy(YBCO)系超電導体の臨界電流密度Jc、不可逆磁場Hirr、Jc-H曲線に於けるピーク効果は材料の微細組織に強く依存しており、実用上重要なパラメターである。本研究の目標は上記パラメターと微細組織との関連を詳細に解明し、超伝導特性改善あるいは新規超伝導材料探索の手がかりを得ることである。YBCOでは、酸素濃度が周囲の温度や酸素分圧によって容易に変動する。酸素濃度の変動は結晶構造の変化だけでなくOやCuイオンの価数変動、ひいてはキャリアー分布状にまで変化をもたらす。YBCO中では酸素濃度が局所的に変動している可能性がある。本年度は最新のエネルギーフィルタリング収束電子回折を用いてYBCOの酸素濃度の局所的変動を定量的に評価することである。 結果・考察: 観測した収束電子回折図形の強度と動力学的多波回折理論に基づく計算結果と比較した。昨年度、本研究補助費で購入したプラズマクリーナーは試料表面の汚染を防止するのに非常に有効であった。 (1)電子照射による酸素濃度減少:回折強度比I_<0016>/I_<0012>が酸素濃度変動にもっとも敏感であることを理論的に確認した。I_<0016>/I_<0012>を酸素濃度yの関数として計算し、これを酸素濃度評価の指標としたた。150秒間の電子照射により、酸素濃度yの値が6.85から6.50まで減少することを確認した。yは照射時間と共に単調に減少するのではなく、50〜100秒の間に停滞があること、これは酸素脱離によって斜方晶のortho(I)からortho(II)を経て正方晶の非超伝導相へ変態する過程のortho(II)の出現に対応するものと考えられる。 (2)Y-123内の酸素濃度の局所変動:上記(1)の結果をもとに、場所を変えながら照射直後の収束電子回折図形を観察。実測回折強度比と理論計算値を比較し、各点の酸素濃度を求めた。急冷溶融凝固法で作製された単結晶試料内でも、場所によって酸素濃度が局所的に変化していることが確かめられた。
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