研究概要 |
大気開放型化学気相析出(CVD)法において,原料にZn(C_5H_7O_2)_2・H_2Oを用いて適当な条件を与えると,得られるZnO単結晶は基板に対して垂直で,先端曲率半径の小さなZnOウィスカーとなる。本研究では導電性Al:ZnOエピタキシャルウィスカーの作製を試みた。ZnOの原料とAlドープの原料としてそれぞれZn(C_5H_7O_2)_2・H_2O,Al(C_5H_7O_2)_3を準備した。これらをひとつの気化器にいれ気化温度115℃で気化させた。この混合原料気体を流量1.2l/minのN_2ガスで550℃に加熱された(0001)Al_2O_3単結晶基板上に輸送し,ウィスカーを成長させた。ドープするAl量は原料であるAl(C_5H_7O_2)_3の重量を変化させることにより操作した。走査型電子顕微鏡(SEM)断面観察から,ZnOウィスカーはAlが少量ドープされても,その形状をほとんど変化させないということがわかった。X線回折法により,このAl:ZnOウィスカーはc軸配向していることが確認され,Alドープの前後で配向性に変化がないことがわかった。同じ手法で作製したAl:ZnO膜はAlドープ量0.9at%程度で最小の抵抗率を示し,その値は0.3Ω・cm程度であった。また,表面への金属スパッタ蒸着なし良好なSEM像を表すことができるため,この導電性ウィスカーは先端にいたるまで十分な導電性を有しているということがわかる。ZnOウイスカーの格子定数a_0はAlドープ量の増加と共に単調に減少した。一方格子定数c_0はAlドープ量が1at%前後までは増加し、その後一定値に達した。この傾向は一般的な薄膜ZnOで観察される現象と異なる。
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