研究課題/領域番号 |
11450249
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉川 信一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10127219)
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研究分担者 |
高橋 昌男 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00188054)
田村 紘基 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10002023)
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キーワード | 機能性セラミックス / 液相合成 / 複酸化物 / 微小重力 / ゾルーゲル法 / イオン交換 |
研究概要 |
(1)航空機を用いて発生できる約20秒間の微小重力場中において、ZrOCl_2・8H_2O/YCl_3・6H_2OおよびZrOCl_2・8H_2O/AlCl_3・6H_2Oの各0.5M濃度の混合水溶液1ccを、熱電素子を用いて冷却凍結した。凍結過程をCCDカメラによって観察すると共に、試料の凍結状態を保持したまま実験室に持ち帰り真空乾燥した後の混合金属塩を調べた。過冷却状態の水溶液に微小重力場を導入すると、氷の微細な樹脂状晶が急激に成長した。微小重力状態が継続している間はあまり変化が無く、終了すると樹脂状晶の成長が再開した。それにつれて金属塩結晶の析出する様子が見られた。真空乾燥した後の混合金属塩を、TG-DTAにて1000℃まで加熱した。ZrOCl_2・8H_2O/YCl_3・6H_2O系では均一な混合状態を反映して、大部分は安定化ジルコニアであった。またZrOCl_2・8H_2O/AlCl_3・6H_2Oでは、生成するジルコニアの粒成長を阻害するようにアルミナが均一に被覆するために、臨界粒子径よりも小さな粒径をもつ正方晶ジルコニアであった。 (2)Ba(NO_3)_2/Fe_2(NO_3)_2=1/12混合水溶液にクエン酸を添加し熟成ゲル化した後、350℃で焼成して得られる生成物を調べた。水溶液中においてBa^<2+>およびFe^<3+>イオンは均一に混合しており、均一状態を保ったままゲル化したと考えられるにも関わらず、焼成して得られた生成物はα-Fe_2O_3、BaCO_3、BaFe_2O_4の混合物であった。水溶液濃度やクエン酸量などを変化させて自己燃焼に伴う温度上昇を調べると、650℃程度の到達温度が熱電対で検出され、反応温度をさらに高めるとともに高い反応温度を長時間持続させる、さらには反応を試料の部分を問わず均一化することが必要なことが判った。 (3)クエン酸法によってLiMn_2O_4スピネル作製すると、通常の固相反応に比べて反応温度が低温であるために、17m^2/g程度の比表面積をもつ微粒子が得られた。これを酸処理するとLi^+イオンを除去した微粒のλ-MnO_2が生成し、アルカリ金属イオンの取り込み反応が見かけ上加速されることが明らかになった。またλ-MnO_2のLi^+イオン取り込み反応速度はOH^-による還元によって支配されるために、pHが高いほど速いことも明らかになった。
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