平成11年度はシリカ系メソ構造体及びメソポーラス物質の材料設計を種々検討した。 1)メソポーラス物質の材料設計―無機構造制御 カネマイト―界面活性剤メソ構造体の構造を調べ、生成初期ではケイ酸塩シート構造の縮合がほとんど生じておらず、カネマイト有機層間化合物として理解できることがわかった。また酸処理条件を制御することにより、ケイ酸塩骨格が三次元化した新規メソ構造体が得られた。この構造体の粉末X線回折図の検討から、シリカ骨格中にカネマイトに由来するケイ酸塩フラグメントが保持される示唆が得られた。またδ型ジケイ酸ナトリウム以外の層状ケイ酸塩と界面活性剤との反応においてもシリカ―有機メソ構造体の生成を明らかにした。 2)メソポーラス物質の材料設計―マトリックスとしての利用 カネマイト由来のメソポーラスシリカ中にルテニウムトリスビピリジン錯体をドープし、その発光特性から、細孔内環境やプローブの分散挙動について調べた。低濃度の吸着でも消光がみられ、凝集して存在していることが示唆されたが、水を共吸着させることで発光強度が増加し、分散することが認められた。またクロロフィルをメソ孔内に取り込むことを検討し、メソ孔表面を有機化したメソポーラスシリカ内に取り込むことができた。 3)メソ構造体の材料設計 種々の基板面で精密にメソ構造体薄膜を成長させることで、メソ孔が一軸配向したメソポーラスシリカ薄膜の合成に世界で初めて成功した。
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