研究概要 |
初年度は、遷移金属(Ti)とイオウ(S)との粉末に、M(Zr,V,Fe,Sn)粉末を乾式混合後、石英ガラス管に真空封入・熱処理し、Ti_1-_xM_xS_2を得た。粉末X線回折結果をP3-m1でリートベルト解析し、それぞれS値が1.3以下の良好な解析結果を得た。最適合成条件が得られたので、これら試料をCIP成形し、本年度購入した振動試料型磁力計を用いて、77K〜300Kの磁化率を測定した。いずれの試料も反磁性を示したことから、Mは低スピン状態で、しかもTi原子サイトを置換していることが示された。次に、Tiの代わりにNbを用い、NbS_2単相を合成した。S値はTiS_2ほどは小さくなく、NbS_2の場合には文献値よりもややc軸が長い結果となった。次に、ピロール、ピリジン、ピロリジン、ピペラジン、イミダゾールなどの複素環式化合物蒸気をTiS_2あるいはNbS_2結晶と接触させることにより、遷移金属硫化物・複素環式化合物分子結晶の創製を試みた。その結果、TiS_2ではFirst Order、NbS_2ではSecond OrderでMS_2層間に入った分子結晶が合成された。 以上示したように今年度は、単相で結晶性のよいTiS_2、Ti_<1-x>M_xS_2、NbS_2、およびそれら分子結晶が合成された。
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