研究概要 |
α_2Ti_3Al相とγTiAl相からなる二相ラメラ組織チタンアルミナイドは,軽量でかつ高い高温強度を有し,次世代の高温材料として注目されている。ただしそのラメラ組織は十分には安定でなく,さらなる高温強度の向上には,ラメラ組織を安定化する方法論の確立が必要である。本年度は,PST結晶を用いて,ラメラ組織の安定を基礎的に検討し,以下の結果を得た。 1.ラメラ組織中にはα_2/γ,True Twin,Pseudo Twin,Domainの4種の界面がある。これらはα_2/γ>True Twin>Pseudo TwinとDomainの順に不安定となる。Pseudo TwinやDomain境界はクリープ中に移動し,ラメラ組織の球状化を引き起こし,材料を弱化させる。 2.α_2とγ相の体積比は,一般には平衡状態に達しておらず,クリープ中にα_2相が溶解することが多い。このことはラメラ組織の弱化をもたらす。 3.Al(γの体積比が高い)の材料は,α_2/γ境界の割合が減り,不安定なPseudo TwinやDomain境界の割合が増す。逆に低Al側では,安定なα_2/γ境界の割合が増える。その結果,低Al化とともにクリープ変形抵抗が向上する。 4.高温になると,γ/γ境界が消失し,ラメラ間隔が増大する。この組織不安定化の結果,クリープ抵抗が急激に低下する。 5.クリープ中に,ラメラ界面に平行な双晶(Parallel Twin)が導入され,ラメラ間隔の微細化が起きる。このParallel Twiningは一定の臨界応力以上のみでおきる。
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