研究概要 |
α_2Ti_3Al相とγTiAl相からなる二相ラメラ組織チタンアルミナイドは,軽量でかつ高い高温強度を有し,次世代の高温材料として注目されている。ただしそのラメラ組織は十分には安定でなく,さらなる高温強度の向上には,ラメラ組織を安定化する方法論の確立が必要である。本年度は,PST結晶を用いて,ラメラ組織の安定を基礎的に検討し,以下の結果を得た。 1.ラメラ組織中にはα_2/γ,True Twin, Pseudo Twin, Domainの4種の界面がある。Pseudo TwinとDomain界面は最も不安定で,変形の初期から移動し,ラメラ組織を球状化する。True Twin界面は, 変形初期には成長ままの界面を保つが,約10%の変形後には移動し,ラメラ球状化に寄与する。α_2/γ界面は最も安定で, 大変形後にも微細なラメラ組織を保つ。したがって,ラメラ組織の安定化という観点からは,α_2/γ界面を多く合む組織が望ましい。 2.α_2とγ相の体積比は,一般には平衡状態に達しておらず,クリープ中に.薄いα_2相の溶解と厚いα_2相中でのγ板の析出が起きる。後者はラメラ組織の微細化に寄与し,前者は逆に,安定なα_2/γ界面を減らす。 3.γ板が析出した直後の状態では,True Twin : Pseudo Twin:Domain境界が2 : 2 : 1の割合で存在する。この各ラメラ界面の存在割合は,焼鈍温度によって変化する。高温で焼鈍するほどDomainとPseudo Twin界面が消滅し,True Twin界面の存在割合が増す。その結果クリープ変形抵抗が向上する。
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