研究概要 |
金属間化合物は比重が小さく、優れた力学的特性と耐酸化性を有しているため、軽量耐熱構造材料として注目されている。しかし、延性並びに破壊靭性が金属材料に比べて低く脆性であるので、金属間化合物単体での利用が制限される。そこで、第3元素添加や最適加工熱処理などにより組織を調整し、シアリガメント、ミクロ組織によるブリッジング効果など種々の応力緩和機構を導入することにより、高靭化させる手法が考えられてきた。更なる高靭化を図るためには、金属との多層化による金属/金属間化合物積層材料が望ましい。これは、金属間化合物への微視破壊機構の導入に必要なミクロな破壊機構と、積層化による界面の存在で導入されるマクロな破壊機構を併せ持つ材料として期待されているからである。 本研究では以上を考慮して、Ti/Ti-Al系多層積層材料を自己発熱反応により作製し、金属間化合物の体積率と種類の変化における力学的特性への影響、さらにこの金属/金属間化合物の破壊機構の関係について調べることを目的とする。 TiとAl箔を重ね合わせてホットプレスした結果、Ti相とTi-Al系金属間化合物相からなる結合性の良い積層複合材料が得られた。 形成された金属間化合物は、TiAl,TiAl_3以外にTi_3AlもEDX,TEMによって確認された。 金属間化合物の体積率が低くなるにつれ引張り強度の上昇が認められた。また、同程度の金属間化合物の体積率を持つ試験片を比較したところ、TiAlよりもTiAl_3の試験片の方が高い伸びを示した。破断後、側面から観察した結果、TiAl_3試験片の方は、金属間化合物層での負荷方向に垂直な割れがTiAl試験片よりも多く発生した後、Ti層で塑性変形が起っていると考えられる。
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