研究概要 |
先進型ガスタービンを初めとする将来のエネルギープラント機器の高効率化を推進するうえでの必須要素として重要な高温化耐用の耐熱材料システムの構築において,高強度超耐熱合金の基材表面に耐環境性のみならず熱遮蔽機能をも兼備した遮熱コーティング(TBC)システムが,ガスタービン動翼など熱的-機械的-化学的損傷要因が複合化して部材劣化を助長する部位にまで適用される段階を迎えている。本研究では,このようにクリティカルな負荷が複合化して作用する実機部材の負荷条件を的確にシミュレーションできる試験装置により,材料側と環境側双方の条件を的確にパラメータ設定して各種の性能評価試験研究を展開し,そこでの損傷解析に基づいて将来のTBCシステム最適化設計のために有益な知識・情報を得るための研究を展開してきた。 本年度は,腐食環境装置付き高温疲労試験装置による各種TBCシステム試験片を対象としたクリープ,疲労ならびにクリープ-疲労同時作用条件下での比較的長時間にわたる特性評価試験を実施し,各種複合負荷条件下での損傷の微視的様相を解析するとともに,コーティングシステムの熱機械的損傷劣化とそれに及ぼす腐食環境の影響について検討を加え,さらにTBCシステム性能向上のための最適組織制御の方策を検討した。またこれと並行して,前年度まで行ってきた代表的TBCシステムの基本的な機械的損傷劣化挙動の微視的究明と影響諸因子,とりわけ適用すべきボンドコートならびにセラミックトップコートに関するコーティングプロセスの各種パラメータについての体系的把握を試みた。さらに,TBCシステムの性能を支配しうるコーティング界面での組織制御など今後の検討課題についても指摘した。 一方,本研究でこれまでに得た研究成果や調査に関する外国雑誌や解説論文等への投稿掲載を行うとともに,これらを中核として研究成果報告書をまとめた。
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