研究課題/領域番号 |
11450270
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
北田 正弘 東京芸術大学, 大学院・美術研究科・文化財保存学専攻, 教授 (70293032)
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研究分担者 |
水流 徹 東京工業大学, 大学院・工学研究科・金属工学専攻, 教授 (20092562)
杉本 克久 東北大学, 大学院・工学研究科・金属工学専攻, 教授 (80005397)
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キーワード | 銅合金 / 煮色着色 / 溶液 / 人口緑青 / 亜酸化銅 / 成長速度pH / pH / 拡散 |
研究概要 |
伝統工芸で古くから利用されている銅合金の煮色着色の機構を解明するために、先ず、(1)着色溶液の溶質として利用する人工緑青の組成と結晶構造、(2)着色溶液の化学的性質、(3)着色溶液の組成と着色生成層の成長速度、(4)これらの温度依存性、などについて検討した。その結果、人工緑青はCu、Zn、Na、Clを主成分とし、CuとZnはほぼ7-3黄銅に相当する組成比であった。また、CaおよびNaは人工緑青を造る際の塩化物腐食剤として添加されているものと判明した。緑青成分はアモルファスに近い構造をもっており、溶液中には上記のうち、Caを除く元素が溶解する。人工緑青の飽和溶液のpHは約8のアルカリ性であった。着色液のもう一つの成分である坦礬は硫酸銅であり、酸性を示す。最も着色の良好な溶液のpHは5〜6の間である。この範囲で緻密な亜酸化銅の層が生成する。これよりpHが低いと亜酸化銅結晶中に格子欠陥が生じ、色がくすむ。また、これよりpHが高いと未酸化の銅と亜酸化銅が混じ、亜酸化銅の層の剥離が生ずる。これは、溶液中の水素イオン濃度により、CuとOの結合が変化し、化学量論組成からのずれが生ずるためである。着色処理による亜酸化銅層の生成速度は銅板を溶液に浸漬した直後の数10secが最も高く、その後低下し、直線的に成長する。初期酸化は溶液中のOがCu中に拡散する律速、直線領域ではCuが亜酸化銅層表面に拡散する過程が律速しているものと考えられる。溶液を加熱すると熱活性化のために亜酸化銅層の成長速度は高くなる。亜酸化銅層中には溶液成分であるClも拡散侵入する。CuとClの化合物CuClなどは空気中のCO_2およびH_2OとCuが反応として腐食物である緑青を生成するときに触媒的な働きをするので、工芸品にとっては有害元素である。この他、黄銅、赤銅(Cu-5%Au合金)、四分一(Cu-25%Ag合金)などの煮色着色について、予備的な検討をおこなった。
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