研究課題/領域番号 |
11450270
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
北田 正弘 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (70293032)
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研究分担者 |
水流 徹 東京工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20092562)
杉本 克久 東北大学, 大学院・工学研究科・金属工学専攻, 教授 (80005397)
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キーワード | Cu / Cu-Ag / Cu-Zn / 着色 / 煮色 / 光吸収 / 電位-電流 / 耐食性 |
研究概要 |
Cu合金の煮色着色層の微細構造の解明と着色による防食効果について検討した。微細構造の解明では、共晶合金系のCu-Ag合金について検討した。防食効果については、Cu、固溶体のCu-Au合金およびCu-Zn合金について評価した。 (1)Cu-Ag合金を煮色処理したものは四分一(しぶいち)と呼ばれるが、加工されたCu-Ag合金板は共晶成分であるα(Cu)固溶体とβ(Ag)固溶体が圧延方向に細長く伸ばされた構造をもち、焼鈍したものはこれらの界面が丸くなり明瞭になる。これらを煮色すると、濃く煮色された領域とほとんど煮色されない領域に分かれる。煮色された領域はα固溶体で煮色されない領域はβ固溶体である。断面の透過電子顕微鏡観察では、α固溶体はAgを微粒子として吐き出してCu_20となり、Agはそのまま残留した構造になっている。着色はCu_20の光吸収、Agの反射、地の合金の反射が重畳したものである。 (2)煮色したのちのCu、Cu-Au合金およびCu-Zn合金を電気化学的に酸化還元して、その電位-電流曲線を求め、これらから防食の効果について検討した。用いた溶液はpHが0〜14で、電位-電流曲線はpHによって変化するが、煮色層があると貴な向きにシフトし、腐食されにくくなっている。通常の環境であるpH5〜8の間では、顕著な耐食性向上が{認められた。また、高温高湿試験(80℃・90%RH)でも、腐食による表面変化は認められなかった。このほか、新技術の開発として、熱酸化法を試み、同等の層が得られた。
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