研究概要 |
粉末プロセスを精密加工の基盤技術とするため,原料である独立分散相や製品の空孔を含めた不均質多相組織を定量する手法の開発が重要と考え,不均質分散相の粒度(大きさ)と粒形(形状)を同時に多数計測し,両分布の統計的な数値で形態(粒度と形状)分布特性を定量評価することを提案した。研究課題を達成するために計画した系統的なアプローチで,本年度に報告できた実績と,現在実施している成果の公表予定,ならびに今後に目論む研究展開は,以下のようである。 1.市販粉末で粒子の投影像と切断像を実測し,同時に粒度と形状を考慮した粒子群のモデル (1)投影像の形態分布特性に従う相当慣性楕円形に基づく楕円体群 (2)切断像の形態分布特性に従う相当慣性楕円形に基づく二重楕円体群 を作成し,そのランダム配向における平面切断のシミュレーションを実施した。前者はバンクーバーでの国際会議で発表(裏面参照)し,後者はニューヨークでの国際会議(2000年)で公表予定である。 2.傾斜振動板法による粉末粒子の形状分級を実験とシミュレーションで行った。一部は,粉体および粉末冶金誌に掲載(裏面参照)し,全体は京都での粉末冶金世界会議と展示(2000年)で公表予定である。 3.粉末の磁性焼結製品の組織を構成する空孔を測定し,製品機能特性との定量的関係や焼結プロセスの解析への基礎資料を作成した。成果は同上の粉末冶金世界会議(2000年)で公表予定である。 新提案は,材料開発における新解析法に留まらず,製品の内部組織を制御する方法などへの応用が見込まれる。本年度に購入した画像の高速入力処理設備を用い,現場操業への応用も視野に入れた画像入力法や統計解析処理法を一括迅速化する試行を実施している。 4.情報産業機器用セラミックス基板などの精密切断に適用される硬質粉末材料の形態特性を定量し,その精度と性能との関連を比較考察する。
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