研究概要 |
粉末プロセスを精密加工の基盤技術とするため,昨年度までに,原料である独立分散相や製品の空孔を含めた不均質多相組織を定量する手法の開発が重要と考え,独立分散や不均質組織分散相の粒度(大きさ)と粒形(形状)を同時に多数計測し,両分布の統計的な数値で形態(粒度と形状)分布特性を定量評価することを提案した。本年度からは,その成果を発展させて適用範囲の拡大を心がけ,研究課題への系統的なアプローチを研究グループ外の賛同諸氏の助けも借りて遂行した。本年度に報告できた実績と,現在実施している成果の公表予定,ならびに今後に目論む研究展開は,以下のようである。 1.傾斜振動板法による粉末粒子の形状分級を実験し,分級メカニズムをシミュレーションする計算機試験プログラムを作製して,結果を解析した。成果は京都での「粉末冶金世界会議と展示」で公表した(裏面の研究発表欄参照)。 2.本研究課題で昨年度までに得た粉末のキャラクタリゼーションとその定量解析法の開発に向けた成果を応用し,粉末の磁性焼結製品の組織を構成する空孔を測定し、製品機能特性との定量的関係や焼結プロセスの解析への基礎資料を作成した。成果の一部は,同上の「粉末冶金世界会議」と「電気製鋼」誌で発表した(裏面参照)。更に適用範囲の拡大や精密化,ならびに磁性材料全般での位置付けへに発展させて引き続き研究している。成果は順次「粉体および粉末冶金」誌上や「2002年の粉末冶金世界会議」で公表予定である。 3.研究代表者を中心にして種々の個別のテーマで実施した気孔が関与する応用研究で,気孔の定量評価が不完全な場合,同一知見を目指した複数の実験事実に矛盾や不一致が生じることを再々経験した。気孔の定量測定に新たな試みを加え,種々の測定結果を相互に比較して検討した。成果は「2001年の粉末冶金と粒子材料に関する国際会議」で発表した(裏面参照)。 新たな提案やそれに基づく斬新な知見は,単なる材料開発における解析法の開発だけに留まらず、製品の内部組織を制御する方法などへの応用が見込まれる。現場操業への応用も視野に入れた画像入力法や統計解析処理法を一括迅速化する試行も重要である。
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