研究概要 |
本研究は,不純物を含むSiO_2から粗金属Siへの還元過程における不純物元素の挙動をプロセス工学的,速度論的に明らかにすることを目的とする.ここで,本研究の対象とする還元法は,SiO_2⇒SiO⇒Siの順に還元生成物を段階的に精製してゆく2段階還元法の原理に従うことを特徴とする. 本年度は,この研究の最終年度である第3年度にあたり,昨年度の実験結果をもとに,模擬石炭灰中のSiO_2からの気相へのSiOの移行,気相での凝縮・凝集過程に関するプロセス工学的研究を進めた.これは,これまでの研究経過から,この反応段階がSiへの不純物移行過程においてもっとも重要だと考えられ,ここに重点を置くことが本研究の目的からして本質的に重要なためである. 本年度の実験では,昨年度の研究結果をもとに,模擬石炭灰の炭素熱還元の実験をおこなった.実験温度1800℃,Ar雰囲気下((8160)16760Torr)で,グラファイトるつぼに模擬石炭灰組成のSiO_2-Al_2O_3-CaO系酸化物を溶解し(高周波炉使用),炭素熱還元反応によりSiO蒸気を生成させた.炉内に挿入したグラファイト管を通して,温度勾配のもとで気相中で凝縮したSiO微粒子を,キャリアーガス流れによって石英フィルター上に吸着・採取した.フィルター上の粒子の形状,粒子径などを走査電子顕微鏡によって計測して,気相中からのサブオキサイドSiOの凝縮挙動についての基礎データを得た.SiOの気相での凝集の臨界温度については十分解明することはできなかったが,気相からのSiOの凝縮は,るつぼ内の溶融酸化物の泡立ち層の直上(1650℃以上)で進行していることが確認された.また,SiOはnmオーダーの微粒子と,微粒子上に成長するウィスカーが共存し,気相からの微粒子の凝縮と気相から微粒子上へのSiOの結晶成長が同時進行すると考えられる.
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