研究概要 |
1.各種脱酸生成物である酸化物粒子の凝集挙動 共焦点走査型レーザー顕微鏡を用いて,固液界面前方にある溶鋼上の酸化物粒子挙動に関して,'その場'観察を行った.まず,溶鋼上においてAl_2O_3系酸化物に比べ,MgO系酸化物の凝集力が極端に弱いこと、またAl_2O_3系酸化物でも表面活性元素である溶鋼中酸素濃度を高くすると、その凝集力が極端に弱くなることを,'その場'観察とキャピラリー効果を記述したパウノフ理論の両面から初めて確認した.その結果,固相への均一分散に成功した. さらにこの溶鋼プール内では固液界面近傍に発生する温度分布,特に濃度分布からの表面張力差に起因するマランゴニ対流が発生していることを,共焦点走査型レーザー顕微鏡を用て,'その場'観察と数値流体力学の両面から初めて検証した.すなわち凝固(界面前進)時は酸化物粒子は固液界面から急激に遠ざかり,融解(界面後退)時には全くその逆の減少を示した. 2.凝固直後の結晶粒界移動に及ぼす酸化物粒子の影響 共焦点走査レーザー顕微鏡を用いて,固液界面による酸化物粒子捕捉挙動と,それに続く凝固直後の結晶粒界移動に及ぼす酸化物粒子の効果に関して,'その場'観察を行った.まず,固液界面に近づいた酸化物粒子はセル界面に突起を形成させ,粒子に関する押し出し/捕捉遷移はその突起の前進速度と酸化物粒子径によって支配されることを確認した.また凝固直後の結晶粒界移動に関し,酸化物粒子によるピンニング作用が当該粒界だけでなく三重点を通じ,隣接粒界にも影響を及ぼすことを,AL_2O_3粒子に対して初めて確認した.
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