鉄鋼精錬における、ふっ素排出を抑制することを目的にフラックス添加剤として用いられているCaF_2の使用減量に関する研究を行っている。 CaF_2の代替としてSiO_2、TiO_2を取り上げ、1673KにおけるAl_2O_3-CaF_2-SiO_2系相平衡図、Al_2O_3-CaO-TiO_2系相平衡図の測定を行った。CaF_2の一部をAl_2O_3で置換するとSiO_2の溶解度を上昇させ、少量のTiO_2のAl_2O_3、CaOへの添加は融点に影響しないことが分かった。結果は「Phase Diagram Study fou the Al_2O_3-CaF_2-SiO_2 System」として、Metal.Mater.Trans.Bに発表した。 フラックス及びスラグ排出の少量化による、CaF_2の使用量減量を目的にCaF_2-CaO-P_2O_5系の相平衡図とP_2O_5の活量の測定を行った。P_2O_5の濃縮によりCaF_2使用の減量の可能性があるという知見が得られた。相平衡を利用したふっ化物の回収を目的とし、1673KにおけるAl_2O_3-CaF_2-FeO系相平衡図の測定を行った。二液相共存領域を利用したCaF_2の分離の可能性を示した。「Thermodynamics of Oxide Systems Containing Calcium Fluoride to minimize its use in Steelmaking」として発表した。 融体中でのふっ素の挙動を明らかにする事で、ふっ素試料減量の指針が得られると考えられる。FTIRを用い、シリケート及びP_2O_5イオンへのふっ素の影響を観察した。ふっ素の非架橋酸素との置換が融体の性質に影響している可能性があるという知見が得られた。「Infrared emission spectra of CaF_2-CaO-SiO_2 melt」としてISIJ Inter.に投稿中である。
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